駐在彼との夜(お寿司編)
合意の上で終電を逃したので、時間はある。
タクシーでお寿司屋さんに移動することになった。
タクシーを待つ少しの間にキスをされた。
タクシーの中でも何度か交わしたと思う。
思い出して書いているから、16歳年下の彼との思い出と交錯していて、よく覚えていないんだ。
まだあの時はその彼に夢中だったから。
でも裏切っている感覚は全く無かった。
あの彼はボーイフレンド候補ですらない。
若い彼との未来など期待していなかったから。
でも彼の性格はそれなりに理解し始めていて、セフレにする勇気も無かった。
駐在の彼とは、お互いに酔っていたし、大人の出会いだ。
それに明日、海外へ帰る人。
エッチはしない約束とはいえ、これこそワンナイトだ。
この人に怪しさも無いし、確実に帰宅できるなら時間まで楽しめばいい。
そんな感覚だった。
お寿司屋さんに移動しても他愛も無い話だった。
何を話したかあまり記憶が無いが、お互いのパートナーシップの話をここでしたような気がする。
楽しかった。
カウンターで、深夜なのに満席のお店。
こんな時間に食事ができるからだろうか、いろいろな人がいた。
彼は日本人男性と南米女子のセッ クスライフについて話してくれた。
なかなかに刺激的な話だった。
日本人男性の大きさに満足できないから、女性のほうがエクスタシーを感じるように摂取しているらしい。
シンプルなカバンから2冊の本が出てきた。
見せて、と言ったけれど「いいからいいから」「本が好きなら買ってあげる」と早々に仕舞っていた。
オシャレで新調したばかりの洋服だったようだが、彼的にはこのカバンと中身が恥ずかしかったようだ。
私には全く気にならなかったけれど。
きっと経験豊富な商社マンなんだろうな。
でも英語が話せる男性はやっぱり楽しい、と思った。
深夜で、酔っ払ってて、どこにいるのかも記憶が無い。
知り合いなんていないだろう。
会話がひとつ終わるたびに、タクシーの中で交わしたキスの続きを何度もした。
キスが上手だねと言われた。
綺麗だねと褒められた。
あまり言われ慣れていないから、と返すと「そう?とても綺麗だよ」とまたキスをしてくれた。
時間は2時近かっただろうか?
気がついたらお店は待ちが出るくらいになっていたと思う。
移動しよう、と言われて店を出ることにした。
夜はまだ長い。
私は彼のフライト時間を、あまり把握していなかった。