駐在彼にヤリ逃げされた話の続き
駐在彼と眠ったはずなのに、横には誰もいない。
部屋には、誰もいない。
置き手紙的なメモ、LINEのメッセージもない。
まさかの、こんなさようなら。
こんな出会い、こんな仕打ち。
『朝まで彼氏と過ごす』
これが私の夢だった。
また叶わなかった。
笑える。
呆然だ。
支払いは?
何時に出てもいいの?
電車は動いているけど、移動や身支度を考えると自宅に戻る余裕は無い。
できればこのまま9時くらいまでラブホにいたいけど、もう一度眠れる気分には全くならなかった。
駐在彼には私の予定は伝えてあったが、彼がいつホテルを出たいのか聞いていなかった。
私は勝手に、休みだと思っていた。
朝まで一緒に眠れると勝手に思い込んでいた。
コンビニに行く時や居酒屋にいる時、前回よりもスマホ(LINE)の画面をチェックしているのはわかっていたけれど。
私は前日までの不摂生による睡魔不足がたたり、私はぐっすり眠ってしまった。
彼がベッドから出てシャワーを浴びて、フロントに電話していたことに全く気がつかなかった。
カッコ悪い。
ヨーロッパ彼との恋愛やセフレ、友人関係、そしてそれを手放してまで次の恋愛を楽しみにしていた私。
その途中で出会った、ひとまわり以上年下の彼。
どちらも素晴らしい恋愛だったのに、まさかのエリート駐在彼にやり捨てされるなんて。
滑稽だった。
彼の存在を話していたひとりの女友達に、なんて話せばいいんだ。
カッコ悪すぎてウソをつきたい。
どんなふうに話せばいいんだろう。
そんな人目が大いに気になった。
私はズルかった。
こうされても仕方がなかった。
お金の心配ではなく、支払いがされているかが気になった。
私との時間が彼にとって支払いするに値するものではないなら、彼は私と支払いを残して去っていくに違いない。
だってもう二度と会わないから。
だってヤリ逃げでしょ?
でもこのホテルには現在の料金が表示されるシステムは無かった。