彼のいない日本

彼と再会し、飲み友達としてセフ レになる約束をしたのは10月。

結局、あのあと1回しか会えないまま、彼は帰省した。

 

「やり直そうよ」なんて言葉はウソに思えた。

やり直すなら、もっと会ってよ、と言いたかった。

 

彼のトランジットの時間に何回かメールのやりとりができた。

いつも半日とか2時間以上空くメッセージが、わりと早く返信が来るからだ。

幸せだった。

 

気分が乗ってきたのか、「日本に戻ったら前みたいに飲みに行ってセッ クスしよう」というメッセージのやりとりをした。

 

 

この2ヶ月、彼を好きな気持ちに蓋をしないことと同時に

自分を保つことで一定の距離を置くことをができていた。

 

彼の文化を見習った。

深く考えすぎず

深読みしすぎず

自分の気持ちに素直になることを心がけた。

 

どんどん心が軽くなっていった。

感情も仕事も安定していた。

 

でもまた彼のことで頭がいっぱいになってきた。

 

彼に愛されていた1年前を思い出す。

もうあの時の彼なんていないのに。

私だって、もうあの時の私と違う。

 

泣けてきたから泣いた。

彼の心を手に入れたいわけじゃない。

彼と結婚したいわけでもない。

できるわけもない。

 

何に対して泣いているのか。

 

もう1年も前のことだけれど

あんなに人を好きになったのは初めてだった。

あんなに好かれたのも初めてだった。

私はいつも感情をコントロールしていた。

野生的に彼を求めていた。

我慢しているのがよくわかった。

相手の反応を気にしているのもわかった。

それに気がついたことに泣けてきた。